认知症の患者が増えている
认知症の6割以上を占めるアルツハイマー型认知症。
认知症発症の前段阶で治疗を行うことで、その进行を遅らせられる可能性が出てきました。
アルツハイマー病の基础的、临床的研究に长年取り组んできた医学系研究科の岩坪威先生に2023年に登场した新薬、そして无症状の人たちを対象にした研究などについて绍介してもらいます。
アルツハイマー病の基础的?临床的研究を治疗につなげる
认知症の进行を遅らせる新薬の登场

IWATSUBO Takeshi
医学系研究科教授
神経病理学
高齢化の进展に伴い认知症患者数は増加しています。昨年公表された推计によると、国内の认知症患者数はおよそ450万人。认知症の前段阶にあたる軽度认知障害(惭颁滨)の患者数は550万人。合计で1000万人时代に突入しているということです。今后も増加倾向が続くと予测され、日本が抱える大きな社会课题の一つです。
神経病理学を専门とする私の研究室では、认知症の原因疾患のなかでも一番多いアルツハイマー病の研究を行ってきました。基础研究で発症メカニズムを明らかにして创薬につなげたり、病院でヒトを対象とする临床研究も行っています。2023年に日本で承认された、新薬「レカネマブ」抗体薬の临床试験にも携わりました。アルツハイマー病の进行を遅らせるための初めての治疗薬です。
アルツハイマー病患者の脳では、発症する10年以上前からアミロイドベータ(础&产别迟补;)が蓄积し、その后タウというたんぱく质がたまるのと并行して神経细胞が抜け落ちていきます。脳は巨大なコンピューターのようなもので、神経细胞が多少抜け落ちても余力で补えるため、当初は症状がほとんど出ません。しかし、かなりの数が抜け落ちると记忆障害などの症状が起こります。进行の过程で、一番早い変化だと考えられている础&产别迟补;の产生を抑える、あるいはできたものを取り除くことがアルツハイマー病の予防?治疗法の戦略となってきました。
2023年12月から保険适用となったレカネマブは、脳の中に溜まっている础&产别迟补;と结合します。すると、ミクログリアという「扫除屋」の细胞が出てきて、目印がついたアミロイドをバリバリと食べていきます。惭颁滨と軽度认知症の「早期アルツハイマー病」の人を対象とした临床试験では、プラセボと比较して认知机能の低下を27%軽减しました。今まで押しても引いても动かなかったアルツハイマーの経过を遅らせることができることが、数字として表れました。大きな第一歩です。

笔贰罢でスキャンした脳内の画像。础&产别迟补;が蓄积していると、赤やオレンジに写る范囲が多くなります。
无症状の人を対象にした研究
アルツハイマー病は20年くらいの长い期间をかけて生じる疾患です。少しでも症状が出てしまった顷には、脳の病変が相当に进んでいるため、治疗をしても最大の効果が得られない可能性があります。无症状の时期に発见することが非常に重要です。この无症状の人たちを対象にした「闯-罢搁颁研究」も5年前から行っています。健康な50~85歳のボランティアの方々を追跡する研究です。一部の方には笔贰罢(阳电子放出断层撮影)検査や採血を行い、経过を観察し、治験の情报を提供していくというアカデミアにしかできない研究です。これまで约1万4500人の方がウェブ研究に登録してくれました。ご自身の认知机能に兴味のある方はぜひをご访问ください。
レカネマブに続き、2024年にはアルツハイマー治疗薬「ドナネマブ」も承认されました。认知症の治疗は难しい课题です。しかしこうして、新しい薬が出てくることで関心が集まり、さらなる研究に必要な资金も集まり、研究が加速されるようになってほしいと思っています。がんの治疗も最初は生存期间が数か月延びたというところから始まりました。认知症も今后より効力のある治疗法が开発されることで、今までよりも良い状态で生活できる期间がさらに长くなることを愿っています。

「タウ」タンパク质からなる「神経原线维変化」。変性する神経细胞の中にたまっていきます。

タンパク质「础&产别迟补;」からなる「老人斑」。アルツハイマー病の脳では、础&产别迟补;が神経细胞の外の隙间にたまっていきます。
基金の使い道は、発症メカニズムを探る基础研究や治疗法を确立するための临床研究など。认知症の症状発现や进行抑制を目指しています。