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东京大学教员の着作を着者自らが语る広场

ライトグリーンの表紙にぬいぐるみと花の写真

书籍名

ヴァナキュラー?アートの民俗学

着者名

判型など

324ページ、础5判

言语

日本语

発行年月日

2024年3月25日

ISBN コード

978-4-13-080229-1

出版社

东京大学出版会

出版社鲍搁尝

学内図书馆贷出状况(翱笔础颁)

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20世紀後半、「ヴァナキュラー (vernacular)」という用語は、様々な研究分野のキーワードとして広く使われるようになりました。現代の文化研究では、周縁的で非主流、そして文化的ヒエラルキーの下位に位置づけられるような文化がもつエネルギーや積極性、躍動感に着目する戦略的な術語として、ヴァナキュラーという語は使われています。とくに小さな存在の周縁性を逆手にとり、大きな存在である「中心」や「主流」に異議を唱える研究者たちが、その語を好んで使用する傾向があります。
 
私は、多義的に解釈できるこのヴァナキュラーという語を、形容詞としては「何かの中心から離れたところにある~」、そして名詞としては「何かの中心から離れたところにある性質や状態」という概念的見取り図でとらえています。このヴァナキュラー概念の見取り図に従うならば、本書が主題とするヴァナキュラーな性質をもつアート、すなわち「ヴァナキュラー?アート (vernacular art)」は、「何かの中心から離れたところにあるアート」、そして「小さきもののアート」と表現することができるでしょう。ヴァナキュラーという概念は、公式で正式、そして正統や主流、高踏といったところに立ち現れる、権威性や中心性を帯びたアートではなく、そこから離れているところに浮かび上がるアートを見極めるのに、まずは大いに役立ちます。
 
本書はヴァナキュラー?アートという観点から、専門家ではない普通の人びと、すなわち「野」にある「小さきもの」たちの豊かな創造性や、普通の人びとが生きるなかで「アートする (doing art)」ことの積極的な意味にフォーカスしています。それはまず、「小さきもの」の卑近な創作活動、すなわち「小さきものの芸术」を研究する意義について検討し、これまでの日本の民俗学が十分に取り組んでこなかった、アートという研究ジャンルを日本の民俗学のなかに画定し、それに対応する研究視座を構築することを第1の目標としています。またそれは、ヴァナキュラー概念を用いた民俗的アート論によって、従来のアート研究では重きが置かれてこなかった普通の人びとのありきたりで、平凡な日常世界でのアート創作活動の様相と意義から、アート?ワールドの中心を逆照射することを第2の目標としています。そしてさらに、ヴァナキュラー?アートを起点として、未だ十分に研究されていない、そしてこれからも研究され尽くすことがないヴァナキュラー文化という沃野の一部の「地図」を描き出すことを第3の目標としています。もちろん、宏大なヴァナキュラー文化の沃野を、本書だけで描き尽くせるはずもありません。しかし、本書がそのアート実践の面白さや研究の意義の一端を示すことで、多くの人びとがヴァナキュラー文化の沃野へと第一歩を踏み出すきっかけとなれば幸いです。
 

(紹介文執筆者: 东洋文化研究所 教授 菅 豊 / 2024)

本の目次

序章    ヴァナキュラー?アートと民俗学(菅 豊)
 
I ヴァナキュラーなアート理论
第1章  ヴァナキュラー?アートとは何か?:「小さきものの芸术」へのまなざし(菅 豊)
第2章  現代美術の民俗学的転回:ヴァナキュラー?アートと限界芸术(福住 廉)
第3章  「ヴァナキュラー」と「アート」の「あいだ」に:大正?昭和初期における余技?南画家たちの暮らしと実践(塚本麿充)
第4章  〈アート〉における「ヴァナキュラー」/「グローバル」:フェスティヴァルの考察から(小長谷英代)
第5章  占領期ヴァナキュラー写真を浮上させる:米国での調査をもとに(佐藤洋一)
 
II ヴァナキュラーなアート実践1 造形
第6章  超老芸术論:レジリエンスとしての表現(櫛野展正)
第7章  おかんアート:人生における創作活動や技能の蓄積を日常生活で可視化する(山下 香)
第8章  ペンギンがやってきた町:ヴァナキュラーなお土産文化(加藤幸治)
第9章  お地蔵さまにマフラーを:ヴァナキュラー?アートによる信仰実践(西村 明)
 
III ヴァナキュラーなアート実践2 表演
第10章 祭礼アートとしてのつくりもの:タピオカと紫芋フレークの現代民俗芸术論(塚原伸治)
第11章 島の地産地〈笑〉論:ヴァナキュラーに笑い合う余興笑芸人たち(川田牧人)
第12章 歌わずにはいられない人々:在日フィリピン人の歌コンテスト「ウタウィット」(米野みちよ)
第13章 ヴァナキュラーな踊りの価値と、その限界:大里七夕踊の休止をめぐって(俵木 悟)
 
 

関连情报

あとがき:
『ヴァナキュラー?アートの民俗学』あとがき (菅 豊) (note | 东京大学出版会 2024年4月5日)

 
书籍绍介:
編者からの紹介 (東京大学东洋文化研究所ホームページ)

 
书评:
及川祥平 評「民俗学からアートする「私たち」を問うために――ヴァナキュラリティの豊かな可能性」 (『図書新聞』No.3656 2024年9月21日)

 
青木識至 (美術史学) 評 (『美術手帖』 2024年7月号)

 
五十嵐太郎 評「菅豊編『ヴァナキュラー?アートの民俗学』を読んで」 (『UP』2024年7月号 2024年7月5日)

 
(『月刊アートコレクターズ』2024年6月号/183号 2024年5月24日)

 
(『南海日日新闻』5月17日号)

都築響一「おかんたちのヴァナキュラー?アート」 (Roadsider’s weekly 2024年5月8日)

 

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